すべてはコーヒーのために:伊豆山稜線歩道 33kmの初テント泊記

すべてはコーヒーのために:伊豆山稜線歩道 33kmの初テント泊記


前回の蛭ヶ岳ハイキングより歩く距離を伸ばそうと、伊豆山稜線歩道へ。
天城峠イン、だるま山高原レストハウスでアウトの一泊二日約33キロのハイキング。堅牢な屋根と壁、温かい風呂をこよなく愛する私の初めてのテント泊となるが、上級者の山口さんと一緒なので心配は少ない。

伊豆山稜線歩道のハイキングで、緑に覆われた苔むした古い石造りの旧天城トンネルの前に大きなザックを背負って立つ登山者。
旧天城トンネル
青空の下、伊豆山稜線歩道のトレイルの仁科峠にある、左右に開かれた金属製の立入禁止ゲートと舗装路。
仁科峠近くにあるゲート。朝からここまで広い眺望はほぼない。
仁科峠展望台から。緑豊かな伊豆山稜線歩道の山肌を美しくうねりながら駆け抜けていく、一本の舗装道路と周囲の山々の展望。
仁科峠からやっと稜線歩きの雰囲気が出てきた。

「やまどうぐレンタル屋」でお借りしたカミナドーム1は、初心者の私でもぶっつけ本番でいびつながらも形にできた。「何事も経験ですよ!人は失敗から学ぶんですよ!」が信条の山口氏からのアドバイスはもちろん少なかったが、当日は雨も降らず風も強くないというテント泊には好条件。天気よ、ありがとう。
暗くなると鹿がテントの横をウロウロしていたようだが気が付かないふりをして乗り切り、耳栓を装着して何ごともないかのように深く眠る。
稜線上にテントを張ったのは、「朝、テントを開けると駿河湾が見渡せるんですよ!」と歩き疲れた末に無理やりバイブスを上げた山口氏の判断だった訳だが、明朝に我々を待っていたのは、風の街に生まれ、雨の夜を過ごした訳でもないのに美しく真っ白なガス、ガス、ガスだった。

宇久須峠。夕暮れ時の淡い空の下、なだらかな緑の草原が広がる伊豆山稜線の丘へとまっすぐに続いていく一本の登山道。
宇久須峠の先の丘の上にテントを設営した。時間は18時頃、そろそろ暗くなり始めていた。
明朝にテントを開けると、どこまでも広がる青空と伊豆山稜線の緑の草原。山の向こうにぽつんと浮かぶ、白く大きな不思議な形の雲。
翌朝、テントから。時折、晴れ間が見えると気持ち良い。
緑の草地の上で、PaagoworksのTRAILPOT R500で湯を沸かし、テント泊の至福のドリップコーヒー。
今回のコーヒードリッパーは「Tetra Drip」。そして、Paagoworksの「TRAILPOT R500」はコンパクトに収納できるため、最近のハイキングではマストアイテム。
真っ白な深い霧に包まれた伊豆山稜線歩道で、整備された木道の階段を一人で静かに登っていくバックパッカー。
そして真っ白な深い霧の中、歩き始める。
手前に広がる笹原の向こうに、うねるような伊豆山稜線のトレイルと、遠くうっすらと雲の間に見える富士山。
本格的な稜線歩きになってきたのは、2日目の午後あたり。実に長い助走だった。
人の背丈ほどの美しい笹原に挟まれた伊豆山稜線歩道の一本道を、大きな荷物を背負って一歩ずつ進むハイカー。
伊豆山稜線の山頂から見下ろす、深く連なる山々の谷間に美しく広がる湾状の土肥港と穏やかな海の景色。



日帰り小屋泊と違ったのは水だ。下調べをしていると道中に水を買える店や自販機はなく、不確かな水場情報があるだけ。いつも比較的に多めの水分が必要な私はこの日は4.5Lを用意し、もしものために浄水器「SAWYER マイクロスクィーズフィルター」を購入して備えた。これに救われることになる。
二日目の昼食のカップヌードルのお湯すら足りない危機的状況の中で、見つけた水場で浄水器を使って1Lの水を得ることができた。残り3時間の道中、喉を乾かしながらカップヌードルを生で齧りながらご機嫌に歩き続ける強さを我々は持たない。

広大な笹原と青い駿河湾を一望しながら、伊豆山稜線歩道の整備された木の階段を下りていく登山者の後ろ姿。
鮮やかな青空と白い雲の下、緑の山肌をなだらかに縫うように走る一本の舗装道路と山頂へ続く伊豆山稜線登山道。
金冠山から見渡す、青い駿河湾の向こう側にうっすらと山頂を覗かせる雪を冠した富士山。

さて、初めてのテント泊を終えてみての感想は、「ハマりそう」、「もう2度とゴメン」の両極ではなく、また機会があればやりたい。ただ、全ての時間を自分でコントロールできる点は、日帰りや小屋泊と大きく違って山行をより楽しいものにしてくれた。これが自由というやつか。特にドリップしたコーヒーを景色を見ながらゆっくり味わうのは至福の時間で、コーヒーのためだけにテント泊をする価値があるとすら思う。
「住」と一緒に移動することで「重」の負担は増えるが「自由」になれる。これまで多くのハイカーから聞いていたことを体感できた旅になった。またテントを担いでコーヒーを飲みに行こう。

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横田茂 / Shigeru Yokota
ブランドサイトやECの制作・運営をサポートするフリーランスデザイナー。
Afterhoursではコーヒーとデザインを担当
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